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【適切な士業選択】行政書士と弁護士の業務の違いとは?こども家庭庁が想定する士業活用ガイド

1. 弁護士ができる業務とは?
(紛争解決と高度な予防法務)

弁護士は、弁護士法第3条に基づき、訴訟事件、非訟事件、審査請求などの法的トラブルに関する事務全般(法律事務)を行うことができる唯一の専門家です。他の士業には対応できない「紛争(争い)」の解決と、高度な法的判断を伴う「予防法務」を担うのが最大の特徴です。

1-1. 紛争解決と代理人としての交渉(独占業務)

相手方と意見が対立し、トラブル(紛争状態)になっている場合、依頼者の代理人として直接相手と交渉できるのは原則として弁護士のみです。 例えば、取引先が売掛金を支払ってくれない、クレーム客から不当な損害賠償を請求されている、従業員から不当解雇で訴えられた、といったケースです。内容証明郵便の送付、示談交渉、裁判所での労働審判や民事訴訟など、あらゆる法的手続きを代理で行い、依頼者の利益を最大化(または損害を最小化)するために戦うのが弁護士の役割です。

1-2. 高度な法的判断を伴う企業法務(予防法務)

トラブルが起きてから対処する「臨床法務」だけでなく、トラブルを未然に防ぐ「予防法務」も弁護士の重要な業務です。 新規ビジネスを立ち上げる際、そのビジネスモデルが既存の法律に違反していないかを審査するリーガルチェックを行います。莫大な損害賠償リスクが潜むような複雑なM&A契約や、前例のない新しいITサービスの利用規約作成など、高度な法的解釈とリスクヘッジが求められる場面では、弁護士の知見が不可欠です。

1-3. 【最新法務】こども性暴力防止法

(日本版DBS)における弁護士の役割

令和8年施行のこども性暴力防止法において、保育所、幼稚園、学習塾、スポーツクラブなどの事業者は、従業員の性犯罪前科の確認(犯罪事実確認)や防止措置を講じることが求められます。この新しい制度への対応において、弁護士は以下のような極めて重要な役割(コンサルティング及び実務対応)を担います。

  • 防止措置や犯罪事実確認等に備えた事前準備への対応: 制度趣旨を踏まえた適法な採用プロセスの構築。

  • 採用関連書類の整備: 募集要項、求人票、誓約書、内定通知書など、後に労働紛争にならないための法的な立て付けを行ったひな型の作成。

  • 事案発生時の初動対応と事実調査: 万が一、児童対象性暴力等や不適切な行為の疑いが発生した際の初動対応への助言、および第三者性を確保した客観的な調査・事実認定。

  • 防止措置(雇用上の措置)の検討・実施: 犯罪事実が発覚した従業員に対する内定取消し、配置転換、懲戒解雇などの処分が「不当解雇」として訴えられないための適法な手順の助言。

  • 労働紛争・行政処分への対応: 実際に労働トラブルに発展した場合の代理人交渉や訴訟対応、行政からの監督指導への対応。

このように、単なる手続きではなく「個人の人権(プライバシー・職業選択の自由)」と「こどもの安全」が激しく衝突し得る領域において、法的リスクをコントロールできるのは弁護士だけです。

1-4. なぜ「就業規則の変更」に弁護士が関与すべきなのか?

通常、企業の「就業規則の作成・変更」は社会保険労務士(社労士)の業務領域として認識されています。しかし近年、就業規則の変更等においては弁護士が深く関与(リーガルチェック・共同作成)するケースが急増しています。

その理由は、就業規則が単なる「役所への届出書類」から「労働紛争における最大の証拠・防具」へと意味合いが変化しているためです。 例えば、前述のこども性暴力防止法に対応するためには、就業規則の懲戒事由に「重要な経歴の詐称(性犯罪前科の秘匿など)」を明確に規定し、「不適切な行為(密室でこどもと二人きりになる等)」の範囲を具体的に定めなければなりません。もしこの規定の仕方が甘ければ、いざ問題社員を解雇しようとした際に「解雇権の濫用」として会社側が敗訴し、多額の未払い賃金や損害賠償を支払う事態に陥ります。

「万が一裁判になった際に、この規定で会社を守り切れるか?」という「訴訟耐性」を見据えた実質的な判断や規程のブラッシュアップは、労働裁判の現場を知り尽くしている弁護士にしかできない極めて高度な業務なのです。

2. 社会保険労務士(社労士)の業務限界と

「こども家庭庁」の想定外

ここで、人事労務の専門家である社会保険労務士(社労士)の役割と、昨今の複雑化する法制度における限界について解説します。

2-1. 社労士の本来の役割

社労士は、労働保険・社会保険の手続き代行、給与計算、厚生労働省管轄の雇用関連助成金(キャリアアップ助成金など)の申請代行を独占業務とする専門家です。企業の人事労務部門の負担を軽減し、定型的な労働基準法上の手続きをスムーズに行う上で非常に頼りになる存在です。

2-2. こども家庭庁の施策における「社労士の限界」と弁護士の必要性

しかし、近年新設された「こども家庭庁」が主導するような新しい施策(こども性暴力防止法など)や、教育・保育現場における複雑な制度対応においては、「社会保険労務士の対応範囲だけでは想定されていない(カバーしきれない)」という重大な課題が浮き彫りになっています。

こども家庭庁のガイドラインに基づく対応は、単なる労働基準法上の定型的な手続きにとどまりません。憲法上の基本的人権、個人情報保護法、民法(不法行為責任・使用者責任)、刑法などが複雑に絡み合う領域です。

例えば、社労士が一般的なひな型を用いて就業規則を変更しただけでは、実際に「従業員に性犯罪前科があることが判明したため、配置転換や懲戒解雇を行いたい」という事態が発生した際、労働法制(解雇権濫用法理など)の壁にぶつかり、修復困難な労働紛争(裁判)に発展するリスクが高くなります。

こども家庭庁の制度設計自体が、非常に高度なコンプライアンス体制と人権配慮を求めているため、従来の社労士による「手続きベース・役所対応ベース」のサポートでは限界があります。予防法務の観点から、事前準備(規程整備や採用プロセスの見直し)の段階から、必ず労働紛争や裁判実務の経験を持つ弁護士のリーガルチェックを受けることが強く求められているのです。

このことから社労士に就業規則の変更を依頼し、完成したら再度弁護士に確認するという二度手間が生じます。つまり最初から労務に強い弁護士に依頼した方が早くてトータルコストも安くなります。

なお、弊事務所では労務に強い弁護士と提携しておりますのでお気軽お声がけください。

3. 行政書士が対応できる業務の最前線

(資金調達から設備導入まで)

行政書士は、「官公署に提出する書類作成のプロフェッショナル」であり、「街の法律家・ビジネスサポーター」です。行政書士法に基づき、他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類や権利義務・事実証明に関する書類を作成することを業としています。 近年、行政書士の業務は単なる「代書」から、事業の成長を後押しする「経営コンサルティング」へと大きく進化しています。

3-1. 官公署への許認可申請

企業が新たな事業を始める際、国や自治体から「許可」「認可」「届出」などを取得する業務です。建設業、宅建業、飲食店営業、古物商、産廃収集運搬業など、数千種類にも及ぶ行政手続きを、複雑な要件をクリアしながら迅速に代行します。

3-2. ソーシャルビジネス融資等の資金調達サポート

近年、地域の子育て支援、高齢者福祉、環境保護など、社会課題の解決を目的とした「ソーシャルビジネス(社会的企業)」を立ち上げる起業家が急増しています。これに伴い、日本政策金融公庫の「ソーシャルビジネス支援資金」などの融資制度を活用するケースが増えています。 行政書士は、こうしたソーシャルビジネスにおける資金調達サポートにおいて大きな力を発揮します。単に申込書を書くのではなく、事業の社会的意義、持続可能性、収益モデルを金融機関の担当者に論理的に伝えるための「精緻な事業計画書」の策定を伴走型で支援します。財務と法務の両面から事業を形にする行政書士のサポートは、起業家にとって不可欠です。

3-3. 補助金活用サポートと事業計画策定

融資と並んで需要が高いのが補助金活用サポートです。事業再構築補助金、ものづくり補助金、IT導入補助金など、国や自治体の補助金は公募要領が極めて複雑です。 行政書士は、自社の課題に最適な補助金の選定(診断)から、審査員の目にとまる説得力のある事業計画書の作成、煩雑な電子申請(GビズIDの活用等)の代行、そして採択後の実績報告に至るまでトータルで支援を行います。行政文書のプロだからこそ、採択率を高める申請書の作成が可能です。

3-4. 監視カメラの選定や施工アドバイス

一見すると行政書士の業務範囲外に思えるかもしれませんが、実は近年、行政書士が監視カメラ(防犯カメラ)の選定や施工アドバイスに踏み込んでサポートするケースが増加しています。 保育施設や介護施設、学習塾などが「こどもの安全確保」や「防犯対策」を目的とした補助金を活用する際、行政書士は単に申請書を作るだけでなく、「補助金の要件(画素数、録画期間、ネットワーク機能など)を確実に満たすカメラはどれか」「プライバシーに配慮した設置場所はどこか」といったコンサルティングを行います。信頼できる施工業者の手配から、設置後の運用ルールの策定(個人情報保護法の観点から)までを一括してコーディネートできる行政書士は、施設運営者にとって非常に頼もしい存在です。

3-5. 【最新実務】こども性暴力防止法における

「認定申請」と行政書士の役割

こども性暴力防止法において、学習塾や認可外保育施設などの「民間教育保育等事業者」は、国(こども家庭庁)からの「認定」を受けることで、日本版DBSの仕組みを利用できるようになります。この認定申請手続きは極めて煩雑であり、ここで行政書士が活躍します。

  • 認定基準の適合性診断とアドバイス: 事業者が認定基準(欠格事由に該当しないか等)を満たしているかの検討・助言。

  • 申請書類の作成と提出代行: 認定申請書をはじめ、定款、事業内容の説明資料、役員の略歴書など、膨大な添付書類の正確な作成。

  • システム登録サポート: GビズIDの取得や、「こまもろうシステム(こども性暴力防止法関連システム)」へのアカウント登録、犯罪事実確認書の交付申請手続(システム操作)のサポート。

  • 各種規程の作成支援: 認定に必須となる「情報管理規程」や「児童対象性暴力等対処規程」のドラフト作成(※後述の通り、法的評価を伴う部分は弁護士と連携)。

なお、行政書士法上、こうした官公署に提出する申請書や添付書類を「報酬を得て業として作成」できるのは、原則として行政書士(または弁護士)のみです。無資格のコンサルタントや業界団体が代行すると法律違反となるため、必ず専門家である行政書士に依頼する必要があります。

4. 弁護士と行政書士の連携:制度対応における

ベストプラクティス

現代の複雑なビジネス課題、特にこども性暴力防止法のような新しい制度に対応する場合、一つの士業だけで全てをカバーすることは困難です。弁護士と行政書士がそれぞれの得意分野(独占業務)を活かして連携することが、最も安全で効率的なベストプラクティスとなります。

例えば、学習塾がこども家庭庁の認定を受けようとする場合、以下のような見事な連携が想定されます。

【行政書士】が、認定要件の確認、GビズIDの取得支援、事業内容説明書の作成など、行政機関に対する「認定申請手続き」全般をリードします。

【弁護士】が、認定の必須要件である「児童対象性暴力等対処規程」の作成において、何が「不適切な行為」に当たるのかの法的定義を行い、それに連動して「就業規則の懲戒事由」を改定します。

【弁護士】が採用面接時の「誓約書」や「求人票」の法的チェックを行い、将来の労働紛争リスクをゼロに近づけます。

【行政書士】が、作成された規程類を添付書類としてまとめ、こども家庭庁へ滞りなくシステム申請を行います。同時に、安全対策のための「監視カメラ導入」に関する補助金申請もサポートします。

このように、「手続きのプロ(行政書士)」と「リスク管理・紛争予防のプロ(弁護士)」がタッグを組むことで、事業者は安心して本業に専念することができます。

繰り返しになりますが、こども家庭庁自体が弁護士と行政書士への外部委託を想定しており、(Q&A100P10-3参照)「こども性暴力防止法関係の行政手続について、他の事業者等への業務委託は可能ですか?

回答)交付された犯罪事実確認書の閲覧以外の業務については、行政書士及び弁護士に委託することが可能です。」

弊所では基本的に弁護士と初手からの対応をしております。

5. よくあるご質問(FAQ)

ここではよくあるご質問をご紹介します。

新規事業で「こども食堂」を立ち上げたいです。誰に相談すべきですか?

. まずは行政書士にご相談ください。

事業立ち上げに必要な保健所の営業許可(飲食関連)の確認や、ソーシャルビジネス向けの資金調達(日本政策金融公庫の融資)、活用できる補助金の診断から事業計画書の作成まで、トータルでサポートしてくれます。

従業員の就業規則を見直したいのですが、社労士にお願いすれば完璧ですか?

給与規程や労働時間などの定型的な見直しであれば社労士が適しています。

しかし、「問題社員の解雇」「ハラスメント規定」「こども性暴力防止法への対応(前科確認・処分)」など、将来的に労働裁判(紛争)に発展するリスクがある重要なルールの変更については、必ず労働法務に強い弁護士に関与(リーガルチェック)してもらう必要があります。こども家庭庁の施策などは、社労士の対応範囲を超えた複雑な法的リスクを含んでいます。

防犯カメラの設置になぜ行政書士が関わるのですか?

保育施設や学習塾が「防犯対策補助金」などを活用してカメラを導入する際、行政書士が補助金の申請サポートを行います。その一環として、単なる書類作成にとどまらず、補助金要件を満たすカメラのスペック選定、見積もりの精査、施工業者の調整といった実務的なコンサルティングまで一括して行う行政書士が増えているためです。

こども性暴力防止法(日本版DBS)の認定申請は自分たちでできますか?

システムを利用して自社で行うことも可能ですが、要件の解釈や膨大な添付書類(各種規程の作成など)の準備に多大な労力がかかります。正確かつ迅速に認定を受けるためには、行政手続きの専門家である行政書士に依頼することを推奨します。なお、報酬を支払って外部に書類作成を委託する場合、行政書士資格を持たないコンサルタントに依頼すると行政書士法違反となるためご注意ください。

【ご相談・お問い合わせ】 こども性暴力防止法(日本版DBS)の対応について、ご不明な点や手続きへの不安がございましたら、行政書士写楽国際法務事務所までお気軽にご相談ください。専門家がスムーズな制度対応をサポートいたします。

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