福岡・博多にて開催された、こども性暴力防止法に関する勉強会に参加してきました。講師は弁護士の鈴木愛子先生と行政書士の戸田大介先生。
2024年に成立した本法律は、子どもに関わる事業主にとって避けては通れないテーマです。現場視点での学びを共有します。
1. 法成立の背景:わいせつ教員対策法から「教員以外」へ
これまで、教育現場では「わいせつ教員対策法」によって対策が進められてきましたが、子どもが被害に遭うリスクは学校以外にも潜んでいます。今回の新法(日本版DBS)は、学習塾、スポーツクラブ、放課後デイサービスなど、子どもに接する幅広い民間事業者も対象に含める必要性から誕生しました。
2. 「事業者照会型」の仕組みと情報の重要性
今回の制度の肝は、事業者がこども家庭庁を通じて、職員の「前科情報(特定性犯罪)」を確認できる仕組みです。
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要配慮個人情報: 前科情報は極めて秘匿性の高い情報です。
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仕組み: 事業者に直接前科が渡されるのではなく、一定の手順を経て「適合・不適合」を確認する形が想定されています。
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3. 事業者が負う「漏洩リスク」と最高裁判例
勉強会で特に印象的だったのが、ノンフィクション『逆転』事件(最判平成6.2.8)を例に挙げた解説です。
実務上の注意点 もし事業者が誤って前科情報を漏洩させてしまった場合、「更生を妨げられない利益」を侵害したとして、損害賠償請求を受ける法的リスクがあります。制度を利用する以上、事業主にはこれまで以上の厳重な情報管理が求められます。
4. 制度の限界:全ての犯罪を排除できるわけではない
誤解してはならないのが、今回の確認対象はあくまで「特定性犯罪の前科」である点です。
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起訴猶予になったケースや、前科がつかない段階の行動は把握できません。
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「前科がない=100%安全」ではないため、制度に依存しすぎず、現場での見守り体制を併用することが不可欠です。
まとめと博多の夜
専門的な議論の後は、博多名物の「もつ鍋」を囲んでの懇親会。美味しい食事と共に、参加者同士で現場の悩みや対策を語り合える貴重な時間となりました。
こども性暴力防止法は、子どもの安全を守る大きな一歩ですが、同時に事業者の管理責任も重くなります。今後もこのような勉強会を通じて、正しい知識をアップデートしていきたいと思います。