2026-01-06
2026年12月25日に施行される「こども性暴力防止法(日本版DBS)」。この制度において、事業者が適切に義務を果たしているかを国がチェックする強力な手段が「立入検査」であり、不備が見つかった際に出されるのが「適合命令・是正命令」です。
これらの行政監督は、単なる事務的な指導にとどまらず、最悪の場合は認定の取り消しや刑事罰にも直結する重要なプロセスです。ブログ記事として、事業者が知っておくべき重要ポイントを解説します。
1. 「報告徴収・立入検査」とは?いつ実施されるのか
こども家庭庁は、犯罪事実確認の適切な実施や、犯歴情報の厳格な管理を確保するために、「必要な限度において」事業者に対して監督権限を行使します。
• 報告徴収:特定の事項について、国から報告や資料の提出を求められること。
• 立入検査:国の職員が、事業者の事務所や学校、施設などに直接立ち入り、管理職や担当者に質問したり、帳簿や書類を検査したりすること。
【検査の対象となる場所】 事務所、学校、児童福祉施設、認定を受けた学習塾やスポーツクラブなど、業務が行われているあらゆる場所が対象となります。
2. 「適合命令」と「是正命令」の違い
不適切な運用が認められた場合、国は改善を求める「命令」を発します。これには性質の異なる2種類があります。
• 適合命令(法第30条第1項) 認定事業者が、法律で定められた「認定基準」(安全確保措置や情報管理体制など)を満たさなくなったと認められる際に出されます。
• 是正命令(法第18条、第30条第2項) 情報管理規程の違反や、情報の漏えいが発生した際など、「情報管理措置」の義務違反を是正するために出されます。
3. 命令を受けた際の影響:犯罪事実確認が「ストップ」する
是正命令や適合命令を受けた事業者は、ただちに改善を図らなければなりません。最も大きな実務上のペナルティは、「犯罪事実確認書の交付停止」です。
国は、命令に係る措置が講じられたと認めるまでの間、その事業者からの申請に対して犯罪事実確認書の交付を行わないことができます。確認書が届かなければ、新規採用者の配置ができなくなるため、事業運営に甚大な支障をきたすことになります。
4. 監督を拒否した場合のペナルティ(刑事罰と公表)
国の監督に対して非協力的な態度をとった場合、厳しい罰則が待っています。
• 刑事罰(罰金刑):報告・資料提出の拒否、虚偽の報告、立入検査の拒否・妨害、質問への不答弁などを行った場合、50万円以下の罰金に処される可能性があります。これは法人にも科される「両罰規定」の対象です。
• 認定の取り消し:是正命令や適合命令に従わない場合、認定事業者は認定を取り消されます。
• 名称の公表:犯罪事実確認義務に違反していると認められる場合、事業者名や違反内容がインターネット上で公表されます。
5. 公立施設や国・自治体の扱いは?
国、地方公共団体、独立行政法人、国立大学法人などは、行政機関としての自己規律や別の法人法制によって適正な履行が担保されるという前提があるため、法に基づく「立入検査・是正命令・定期報告」の直接的な対象からは除外されています。これらは各業法に基づく内部監査等によって監督されます。
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まとめ:事業者が備えておくべき「コンプライアンス」
立入検査は、抜き打ちで行われる可能性もゼロではありません。日頃から以下の準備を徹底しましょう。
1. 帳簿の正確な記録:犯罪事実確認の実施状況を記した帳簿を毎年度作成し、5年間保存すること。
2. 情報管理規程の遵守:策定した規程が形骸化していないか、定期的に自己点検を行うこと。
3. 所轄庁との連携:こども家庭庁だけでなく、自治体や教育委員会(所轄庁)とも情報が共有されることを認識し、一貫した対応をとること。
なお、当事務所は顧問先の立ち合い同行も実施しております。